将在消看板 更新日: 05/10/15


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 新しい建物ができるたびに、小さい頃よく買い物に行った商家・商店(こんな言葉も死語になりそう)の看板が消えていっています。見応えのある看板が多いにも拘わらず、芸術作品でないためどこにも残ることなく取り壊されています。現在に生きる我々が残さなければ、という思いで、写真を撮って(捕獲して)記録に残し始めました。開発との競争で、将に看板は消えつつありますが、少しでも残ればと努力しています。
 now vanishing ということで、この記録を『将在消看板』と命名しました。中国語で進行形(ing)は「在」で表すとの情報から熟語化しました。写真で捕獲した看板は次のように分類しています。消えつつある看板を狙うということで、つい大正・昭和初期の頃の古い看板に眼がいきます。藤森照信さんは「看板建築」という本を書いています(絶版、朗報:1999年7月に新装再版されました)。
 ところで捕獲で彷徨っていると「トマソン」探索のグループとよく遭遇します。確かに捕獲写真にはトマソン要素(超芸術)があります(トマソンについては私のホームページにリンクがあります)。これらはトマソン分類を採用させてもらいました。
 写真は「フォトスキャナー」で取り込んでいますが、ホームページ掲載時に速度・大きさの問題で30%に圧縮していますので、品質劣化しています。ご容赦願います。


Gallaryへリンクします 分類定義
 板看消在将 ▼上海右から左へ書かれている看板。日本火災海上が、上海災火本日、と読まれて大騒ぎになったことに由来されて命名された。
▼ビスケット昔懐かしい「英字ビスケット」のような浮き文字を貼り付けた看板。金メッキだったり、一部が傾げていたり、欠落していると、なお興趣が湧く。
看板専問店 ▼うっかり大きな字を書くときは緊張して、ついうっかりして間違えてしまう。そんな看板。例:○○専問店。
将在消看板 ▼アララギ大正、昭和初期を彷彿させる看板。もっと細分類される必要があると思われる。
▼シャッター一眼レフの膜が誤動作したかのように突然図柄が変化している看板。途中で書き換えになったり、板が一部外れたりしてできたものと思われる。
▼重ね前の看板文字の上に新しく書き直した看板。重ね書きしたことがわかるということで、前の文字が消えきっていない。
▼はまりいかにもその場所にあると相応しいと誰もが感じる看板。純粋タイプと反対のようなもの。
・・・・・ 以下は、トマソン分類の将在消看板です ・・・・・
卯山 店 ▼ウヤマ看板文字などの一部分が消去されている物件。第一物件「卯山○店・○はウヤマ」(○が消えているためなんの店かわからない)看板から分類命名された。
将在消看板 ▼蒸発物件の材質的な寿命などを要因として、その物体が消失した痕跡。トマソン物件中もっともポエティックなものとして近来人気が高まっている。例:字が消えてしまった看板。
▼原爆タイプなんらかの痕跡が,隣接する建物の壁にシルエット状に残されている物件。ものの哀れを喚起する。例:昔の吊り下げ看板の影が壁に残る。
▼純粋タイプネットワークからの孤立化の際立つトマソン物件。例:誰も見ないところに置かれた看板。
▼ねじれ水平垂直世界と斜め世界との間の繋ぎにねじれが生じた造形。二つの世界の食い違いの辻褄あわせの結果、いやおうなくできる物件。例:普通の道に掛けられた坂道用看板。