(東京から引っ越してきた人の作った京都小事典)
近畿と関西
(INDEX:索引へ)
「そうだ京都へ行こう」はよくわかりますが、「こんど関西へ行きます」と言われるとよくわからない。
京都にも来るのか、どこへ行こうというのか。「関西」とはどの範囲なのでしょう。
天気予報などでは「近畿地方」と言うが、旅行などでは「近畿へ行こう」とは言わない。
- 【私説:関西】
- “関西の人”はあまり「関西」とは言わない。少なくとも京都では「関西」をまったく使わない。
- そもそも「関西」という言葉は「関東」の対語である。
「関東」と「関西」のイメージ | 「近畿」と「関西」のイメージ |
|
|
- 【関東】
- 平安時代、京を守るべく、東海道に鈴鹿関、東山道に不破関、北陸道に愛発関(後に逢坂関に代わる)の三関を設置したとき「関の東の外側全部」を「関東」と呼んだことから、「関東」という言葉が始まった。
- 現在の行政区分での中部地方も、関東地方も、さらには東北地方も「関東」であった(平安時代の文書からもこのような使い方をしていたことは明らかである)。
- これも「京都中華思想」の表れでしょう(中国の外側はすべて「夷」=>京都の東外側はすべて「関東」)。
- 江戸幕府は、江戸を守るべく、箱根関、小仏関、碓氷関を設置してその東側を「関東」と呼ぶようになり、少し範囲を限定した。ただし東北地方は「関東」に含めていた模様。
- 江戸時代ですら「関西」という言葉が使われることはほとんどなかった(「上方」と呼ばれていた)。
- 【関西】
- 明治以降、現在の行政区分としての「関東地方」が定着するにつれ、その対語としての「関西」という言葉が次第に使われるようになったと思われる。
- しかし「関西」の範囲は明確にされないまま使われている。
- 広くは西日本全体を指すこともある(関西学院大学の創立理念がこれに相当するか)。
- 狭くは京阪神を指す(関西大学の創立理念がこれに相当するか)。
- 【誤用】箱根関の西側すべてを指す(「関西」の語源の対称的定義になっているが)人もあるようだが、一般には受け入れられていない。
- ニュアンスとして「関西」は大阪を中心にした周辺地域という感じが強い。
- しかし現在の行政区分に「関西地方」はなく、「近畿地方」と呼ぶ。
- 【近畿】
- 「近畿」の定義は比較的明確です。
- 語源からわかるように「畿内とその周辺」を指す(畿内の近隣の意)。
- 因みに「畿内(きない、きだい)」とは「皇居周辺」のことです。
- となると、現在の「近畿」は「関東」のことになりますが。
- 現在の「近畿」は今なお「京都周辺」を指しているようで、となると、今も皇居は京都にあることになる。
- 現在の都道府県でいえば、「2府5県 - 滋賀県、京都府、奈良県、三重県、和歌山県、大阪府、兵庫県」を指すのが一般的のようです。
- それでも多少不明確なところがあって
- 狭い使い方では「2府4県 - 大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県」
- 広い使い方では「2府8県 - 2府4県+三重県+福井県+徳島県+鳥取県」
- ニュアンスとして「近畿」は京都を中心にした周辺地域という感じがします。
一般的な場合(2府5県)は、図のようになります。
和歌山県は畿内とは言い難い。(天気予報には向いていそうですが)
(近畿地方に入れないと「和歌山県」はどの地方にも入れなくなってしまう)
狭い使い方の場合(2府4県)は、図のようになります。
三重県が外されてしまう。
【私のお薦め】福井・三重を入れて2府5県にして、
「京都+福井・滋賀・三重・奈良・大阪・兵庫」が良さそうに思います。
そうすれば、京都府に接するすべての府県が含まれる(参考:3府県境)。
(近畿地方でなくなる「和歌山県」には申し訳ないですが)