- 表には「記念館など」の列を作った。「記念館など」はその人に関係の深い土地にあることが多いからである。
- そうして見ると「杉並区に記念館を持つ文化人（文士）」は極めて少ない。
- 考えるに文化人（特に文士）にとって、杉並区は著作の場ではあるが「人生の節目の場」にはなっていない、ということを意味しているか。
| 人物名 | 住み始め | 住所期間 | おおよその住所 | 住居跡の現在 | 記念館など | お墓 | 補足 |
| 小林秀雄 | 大正１３年(1924)借家 | 大正１５年(1926)鎌倉移転まで１年強 | （旧）杉並村馬橋２２６番地 | 跡なし（アパート群） | 鎌倉の東慶寺 | 私の小学校の先輩です | |
| 中原中也 | 大正１４年(1925) | 約１年で中野へ | 高円寺南３丁目４５番附近 | 跡なし（商店街） | 山口湯田温泉 | 山口市吉敷中東 | |
| 与謝野寛・晶子 | 昭和２年(1927) | 昭和１７年(1942)晶子没まで | 南荻窪４丁目３番２２号 | 与謝野公園 | 大阪堺市 | 多摩霊園 | 晶子は桃井２小校歌を作詞 |
| 井伏鱒二 | 昭和２年(1927) | 平成５年(1993)没まで | 清水１丁目１７番１号 | 旧宅として残っている | 福山市 | 北青山の持法寺 | 「阿佐ヶ谷会」の中枢メンバー |
| 川端康成 | 昭和２年(1927) | わずか８ヶ月（気の迷いか） | （旧）杉並村馬橋２２６番地 | 跡なし（アパート群） | 鎌倉、大阪茨木市 | 鎌倉霊園 | 現在の高円寺３丁目１７番附近 |
| 大宅壮一 | 昭和２年(1927) | 不明（昭和１９年(1944)には八幡山へ） | （旧）杉並村馬橋２２６番地 | 跡なし（アパート群） | 世田谷区八幡山 | 鎌倉瑞泉寺 | 川端康成に触発されて“隣”に引っ越してきた |
| 横光利一 | 昭和２年(1927) | 昭和３年(1928)世田谷北沢へ転居 | 阿佐谷北３丁目５番附近 | 跡なし（民家） | 三重県上野高校 | 多摩霊園 | わずか１年です |
| 三好達治 | 昭和４年(1929)頃 | 約１年＋その後も間歇的に | 天沼２丁目３０番１１号 | 跡なし（民家） | 大阪高槻市 | 高槻の本澄寺 | 昭和７年(1932)病気療養ため数ヶ月阿佐谷に |
| 小林多喜二 | 昭和５年(1930)寄宿 | 昭和８年(1933)没まで（杉並を転々と） | 成田東５丁目２７番附近 | 跡なし（民家） | 小樽市 | 小樽市営奥沢墓地 | 最後は阿佐谷南２丁目２２番附近、短い人生だった |
| 太宰治 | 昭和８年(1933)同居 | 昭和１３年(1938)（杉並を転々と） | 本天沼２丁目１５番附近 | 跡なし（民家） | 五所川原市、三鷹市 | 三鷹の禅林寺 | 途中の碧雲荘（1936〜1937）は湯布院へ移築 |
| 大田黒元雄 | 昭和８年(1933) | 昭和５４年(1979)没まで | 荻窪３丁目３３番１２号 | 大田黒公園 | 杉並区 | 駒込の染井霊園 | 音楽評論家ですが・・・ |
| 田河水泡 | 昭和８年(1933) | 昭和４４年(1969)町田へ | 下高井戸（詳細不明） | （不明） | 江東区森下 | 多摩霊園 | 小林秀雄の妹と結婚、杉並居住も長かった |
| 外村繁 | 昭和２年(1927) | 昭和４４年(1969)没まで | 阿佐谷南３丁目２４番附近 | 住居は残っているらしい | 五箇荘近江商人屋敷 | 東近江市の石馬寺 | 疎開もせず警防団員で頑張った |
| 上林暁 | 昭和１１年(1936) | 昭和５５年(1980)没まで | 天沼１丁目２９番２号 | 住居は残っている | 高知県黒潮町 | 黒潮町生家の墓地 | |
| 石井桃子 | 昭和１４年(1939) | 平成２０年(2008)没まで | 荻窪３丁目３７番１１号 | 東京子ども図書館 | 新宿の瑞光寺 | 杉並区名誉区民、長寿でしたね | |
| 北原白秋 | 昭和１５年(1940) | 昭和１７年(1942)没まで | 阿佐谷北５丁目１番附近 | 跡なし（民家） | 福岡県柳川市 | 多摩霊園 | 晩年に世田谷から引っ越してきた |
- 表には掲載しなかったが、次の人も杉並区に住んでいた（住んだことがある）。
- 「天沼８町会」によれば
- 徳川無声（昭和１１年(1936)頃から「荻窪」、昭和４６年(1971)阿佐ヶ谷河北病院で死去）
- 中野好夫（戦前から「西荻窪」）
- 他の資料から「お名前」だけ（住んだ時期が明確でないので、生年順、漏れがあると思いますが）
- 田部重冶（明治１７年(1884)〜昭和４７年(1972)、大正１３年(1924)頃から（旧）阿佐ヶ谷北２丁目２１番地に住んだか）
- 新居格（明治２１年(1888)〜昭和２６年(1951)、大正１３年(1924)高円寺へ、昭和２２年(1947)杉並区の初代公選区長、（旧）阿佐ヶ谷３丁目８４９番地の自宅で死去）
- 奥村土牛（明治２２年(1889)〜平成２年(1990)、昭和２６年(1951)疎開先から永福町へ）
- 三木清（明治３０年(1897)〜昭和２０年(1945)、昭和４年(1929)（旧）高円寺４丁目５３７番地、この後、中野／阿佐ヶ谷／再度高円寺と転居を繰り返す）
- 青柳瑞穂（明治３２年(1899)〜昭和４６年(1971)、昭和２年(1927)からずっと阿佐谷南３丁目）
- 壷井栄（明治３２年(1899)〜昭和４２年(1967)、昭和１７年(1942)（旧）白鷺１丁目１８番地に住み始める）
- 河盛好蔵（明治３５年(1902)〜平成１２年(2000)、時期不明、天沼２丁目１４番５号か、この自宅で死去）
- 立野信之（明治３６年(1903)〜昭和４６年(1971)、昭和６年(1931)頃からか成田東５丁目２７番附近、この家に小林多喜二を寄宿させた）
- 佐多稲子（明治３７年(1904)〜平成１０年(1998)、時期不明、（旧）大和町４丁目４４番地）
- 石川達三（明治３８年(1905)〜昭和６０年(1985)、昭和１２年(1937)（旧）馬橋３丁目４２５番地に住み始める）
- 伊馬春部（明治４１年(1908)〜昭和５９年(1984)、昭和７年(1932)〜昭和１４年(1939)天沼弁天通りに住む）
- 亀井勝一郎（明治４０年(1907)〜昭和４１年(1966)、昭和初期に阿佐ヶ谷将棋会に参加）
- 田宮虎彦（明治４４年(1911)〜昭和６３年(1988)、昭和１３年(1938)頃からか阿佐谷北１丁目１２番附近）
- 芝木好子（大正３年(1914)〜平成３年(1991)、昭和１７年(1942)高円寺北４丁目９番７号に住む）
- 「天沼８町会」によれば
| 井伏鱒二旧宅（清水１丁目１７番１号） | 石井桃子の旧宅（荻窪３丁目３７番１１号） |
 |  |
| どなたか住んでおられる形跡はあるが、表札は出ていない | 旧宅が（旧）かつら文庫（現・東京子ども図書館）に提供された |
- 戦後になると、杉並区に住む理由もいろいろなパターンが出てくる。
- 親が杉並に住んでいてそこで生まれる、親が杉並に引っ越すのでそれに付いてくる。
- 会社に入って社宅に入ることになったら、社宅が杉並にあった。
- いずれも自分の意志でなく杉並に住むことになった（後の）文化人も多い。
