(東京から引っ越してきた人の作った京都小事典)
床
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「床」という文字は、「しょう」、「
とこ
」、「
ゆか
」などと読む。しかし京都では
床(ゆか)
と言えば
鴨川の納涼床
であり、普通
単に「
ゆか
」
と言う。
床(とこ)
と言えば
貴船の川床
を指し、普通
単に「
川床(かわどこ)
」
と言う。
【広辞苑第六版】
からの抜粋
床(しょう)
@こしかけ。長いす。A寝台。ねどこ。
床(とこ)
@1段高く設けた平らな所。ゆか。A寝るために設ける所。ねどこ。寝台。また、寝具。C川の底。かわどこ。E「床の間」の略。
(途中、以下略)
床(ゆか)
@家の中で一段高く構えて人の寝所などにする所。B建物の内部に地より高く根太ねだを構え、板敷あるいは畳敷とした所。また、特に板敷のものの称。D涼み台。縁台。
(途中、以下略)
納涼床(のうりょう
どこ
)
(
ノウリョウユカ
とも)夏に、料理店や茶屋が川原や川の上に桟敷を張り出したもの。そこで料理を供する。
京都鴨川のが有名
。川床
(かわゆか)
。
川床(かわ
ゆか
)
川に突き出して設けた涼みのための桟敷さじき。
京都四条河原のが名高い
。ゆかすずみ。
「床(しょう)」、こしかけ
「床(とこ)」、寝台
「床(ゆか)」、縁台
床几、牀几(しょうぎ)と呼ばれることが多い。町屋には
バッタリ床几
もある
中国の寝台は「床(とこ)」というに相応しい
昔、家の前に出して夕涼みした
【私説1】
京都人は「広辞苑の読み」など気にしていない
。
四条河原で「川床(かわゆか)」と言ったら、京都人に
笑われる
(どこのお人どすか)
。
鴨川の
納涼床
は「納涼ゆか」
とも言う
でなく、「納涼どこ」とは言わず「納涼ゆか」
と言う
。
その点
日本経済新聞
は京都のことを理解している
。
鴨川では
(中略)
「納涼床(のうりょうゆか)」がにぎわっている。
夏の京都の風物詩だ。新聞記者はこの納涼床を「川床(かわどこ)」と呼んで渋い顔をされた経験がある。
貴船は「川床(かわどこ)」
と呼ぶのが習わしだ。
鴨川の「納涼床」
貴船の「川床」
現在の「鴨川納涼床」は
5月初〜10月末
、
二条〜五条
の間で催される
現在の「貴船の川床」は
5月初〜9月末
の間で催される。「川床」は高雄でも催される
【私説2】(歴史で考えてみよう)
鴨川の納涼床は
江戸時代
から始まった。
中州に縁台のような床(ゆか)
を置いて楽しんだ(左の写真)。
幕末の頃には
浅瀬の上に床(ゆか、縁台)を渡して
楽しんだ(中の写真)。
明治の初めには
川の上に高い床(ゆか)を組立て
楽しんだ(右の写真)。
ということで、鴨川の納涼床は
(今は「高床」になっているが)
当初から
床(ゆか)
と呼ばれていた。
一方、貴船の納涼床は
大正時代
に始まった。
比較的
急な瀬の上に床(ゆか、縁台)を置いて
楽しんだ。
これでは「同じ床(ゆか)では鴨川に勝てない」ということで
差別化して床(とこ)
と呼ぶようにしたと考えられている。
ということで、貴船は「川床(かわどこ)」と呼ぶ。
江戸時代の鴨川納涼床(「都林泉名勝図会」(寛政11年(1799))から)。
幕末の頃の鴨川納涼床(国際日本文化研究センターから)。
明治の初め頃の鴨川納涼床(角館市青柳家から)。