28.源宗干朝臣

むねゆき 上の句順 下の句順 (INDEX)


やまさとは  ふゆそさひしさ  まさりける  ひとめもくさも  かれぬとおもへは
山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人めもくさも かれぬとおもへば
山里は 冬ぞ淋しさ 増さりける 人目も草も かれぬとおもへば

■友札 山川に
■親族歌人  光孝天皇の孫 
■歌について
山中の里はただでさえ淋しいのに、冬になると物淋しさが募ってくる。下の句の掛け詞の技巧が光る。
■出典
古今集冬
■作者略歴
?-939。光孝天皇の子、是忠親王の子。右京大夫となる。歌の評価は一定して高く、三十六歌仙の一人。
【補】
父・是忠親王は「南院」(左京四条一坊五町)に邸宅を持っていたことで「南院親王」とも称された。
源宗干は「是忠親王の子」で、光孝の2世源氏である。
「大和物語」に「南院の今君」という歌詠みが良く登場する。
この女性は「源宗干の娘」らしいが、「南院の今君」と呼ばれていることから「父・是忠親王の養女」になったか。
「わが乗りし 事をうしとや 消えにけむ 草にかかれる 露の命は」(後撰集)などを詠んでいる。