- 「条坊制」とはなにか（と言えば）
- 中国のみやこの制度（概ね「長安」）に倣って、平安京（藤原京・平城京などもそうらしい）で施行された碁盤目状の都市区画である。
- 平安京の条坊制（の範囲）は
- 東西約４．５Km、南北約５．２Km。
- 北は「船岡山」を限界に、南端には「羅城門」を構えた。
- 東は「鴨川」を限界に、西は約４．５Kmになるところまで。
- 北・東の地勢的な制約の下（長安に倣って）少し縦長の長方形を選定した。
大まかな「条坊制」のイメージ
「条」は行全体を指す（例：四条）
「坊」は列全体を指す（例：二坊）
色塗りの重なり（条坊区画）＝「左京四条二坊」
中央を南北に貫くのが「朱雀大路」航空写真(from TV program)
- 区画設計は次のように行った（と推察される）。
- まず「東西に２分割」した。西を「右京」、東を「左京」と呼ぶ。
- 次に「南北を９分割」した。９分割された東西の行を条と呼び、北から順に「一条、二条、・・・九条」と名付けた。
- 各京ごとに「東西を４分割」した。４分割された南北の列を坊と呼び、中央に近い順に「一坊、二坊、三坊、四坊」と名付けた。
- 以下、わかりやすく（覚えやすく）“丸めた数値”で表記する。
- 坊の幅＝（４．５Km－分割のための道路幅）÷（４分割×２京）≒４８０m
- 条の幅＝坊の幅≒４８０ｍにしようとすると、南北は約５．２Kmだから
- （５．２Km－分割のための道路幅）－（４８０ｍ×９分割）≒２４０mで、「９条＋α」で「α＝２４０mの東西の行」が余る。
- この小さい幅の条を「一条の北」に置くことし、これを「北辺」と名付けた。
- 以上で「左京一条三坊」とか「右京二条四坊」などとの表示が可能になる。
- （本質的ではないですが）ここですこし分かり難い概念が入る。
- 上記の「条坊区画」もまた坊と呼ぶし、さらに一時期「唐風の坊名」（「銅駝坊」など）が使われたこともある。
- （本質的ではないですが）ここですこし分かり難い概念が入る。
- この「条坊区画」では大き過ぎるので、さらなる詳細区画設計が行われた。
- 「条坊区画を１６分割」し、各区画を町と呼び、「一町、二町、・・・十六町」と名付けた。
- 「町」の大きさ＝４８０m÷４≒１２０m四方となる。
- 中央に近い順に名付けたので、（見た目には）「左京と右京」で異なって見える（実務的にはこの方がわかりやすい（はずです））。
- 「北辺」は幅が小さいので、８分割に留めた。
- 以上で「左京一条三坊九町」（下図の赤色区画）などの記述が理解できる（と思う）。
- 「条坊区画を１６分割」し、各区画を町と呼び、「一町、二町、・・・十六町」と名付けた。
- 以上をきちんと整理すると、次の図のようになる。
- 「条坊区画」を分割する道路を「大路」と呼ぶ。
- 南北の大路には“固有の名前”が付けられた（東洞院大路、木辻大路など）。
- 坊の名前を使って「東一坊大路」「西二坊大路」と名付けるやり方もあったはずですが、この方式は採用されなかった。
- 東西の大路は条の名前を使って「二条大路」「四条大路」と名付けられた。
- 条の南に接する大路に条の名前を与えた。
- 九条の南に接する大路＝「九条大路」とした。
- 当然こうすると“北の方で矛盾が起こる。
- 一条の北に接する大路の名前の付けようがなくなる。
- 北辺に接する大路の名前はどうするのか。
- そこで“特別な固有の名前”を導入することで解決を図った。すなわち
- 一条の南に接する大路＝「中御門大路」
- 北辺の南に接する大路＝「土御門大路」
- 北辺の北に接する大路＝「一条大路」（例外措置、故に「一条大路と二条大路」の間だけが異常に広い）
- 冒頭で「いろいろなところで行われている説明が“ピン”とこない」と言ったのは、それらの説明が矛盾を抱えた大路（の名前）を使って「条坊制」を説明しようとしているからである。
- 南北の大路には“固有の名前”が付けられた（東洞院大路、木辻大路など）。
- 「町（＝条坊町区画）」も１２０m四方で、町衆が専有するには“大き過ぎる。
- そこでさらに再分割した。具体的には「四行八門制」（詳細は省略）で「東西に４分割、南北に８分割」した。この最小の区画を「戸主（へぬし）」と呼んだ。
- 戸主の大きさは、東西＝１２０m÷４≒３０m、南北＝１２０m÷８≒１５mの縦長長方形で、面積＝３０m×１５m＝４５０㎡≒１５０坪である。
- 家（土地）を持てる町衆は、この大きさの家（土地）を持ったらしい（現代の感覚ではこれでもかなり大きい）。