43.権中納言敦忠

藤原敦忠 上の句順 下の句順 (INDEX)


あひみての  のちのこころに  くらふれは  むかしはものを  おもはさりけり
あひ見ての 後の心に くらぶれは むかしは物を おもはざりけり
逢ひ見ての 後の心に くらぶれは 昔は物を 思はざりけり

■類似語句  なし

■歌について
歌意は字句のとおり。実際に思っていた女性に贈った歌。
■出典
拾遺集恋一
■作者略歴
906-943。左大臣藤原時平の三男だが、実際は時平の伯父国経の胤らしい。管弦の妙手で、枇杷中納言と称せられた。西坂本に別荘を構えたが、病のため38歳で亡くなった。
【補】
藤原敦忠は名邸枇杷殿を受け継いだ。
谷崎潤一郎の「少将滋幹の母」(滋幹の父は国経)=「敦忠の母」であり、敦忠も小説に登場する。性格も優しく、他人に好かれる人だったようです。谷崎によれば、山荘のあった西坂本は「左京区一乗寺のあたり」だったとのことで、小説の最終場面になっている。伊勢もこの山荘に招待されて和歌を詠んでいる。