79.左京大夫顕輔
藤原顕輔 上の句順 下の句順
(INDEX)
あきかせに |
たなひくくもの |
たえまより |
もれいつるつきの |
かけのさやけさ |
秋風に |
たなびく雲の |
たえまより |
もれいづる月の |
かげのさやけさ |
秋風に |
棚引く雲の |
絶え間より |
もれいづる月の |
影の清けさ |
- ■歌について
- 崇徳院久安六年百首の歌。顕輔の歌の中で定家が最も高く評価している。顕輔もみずから詞花集に自撰の歌としてとりあげている。
- ■出典
- 新古今集秋上
- ■作者略歴
- 1090ー1155。修理大夫藤原顕季の三男。顕季以来の六条藤家の和歌の家をついだ。崇徳上皇の命で、詞花集を撰じた。藤原俊成も初め顕輔の養子についた。
- ■逸話
- 藤原兼房は柿本人麻呂の夢を見、その像を画工に描かせて白河院に献じた。顕季はそれを懇望し、暫し借り受け信茂に写させた。以来毎年人麻呂の影供を行う。後日白河院の画は焼失したためこの像だけが残った。この像は最も歌の上手かった末子顕輔に譲られた。この画が百人一首かるたに出てくる人麻呂の像である。