56.和泉式部

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あらさらむ  このよのほかの  おもひてに  いまひとたひの  あふこともかな
あらざらむ 此よの外の 思出に 今ひとたびの あふ事もがな
あらざらむ 此世の外の 思ひ出に 今一度の 逢ふ事もがな

■類似語句  今ひとたびの
あふこと
■友札 あらし吹
■親族歌人 小式部内侍の母

■歌について
病に臥して死を前に詠った歌。思いは最初の夫道貞といわれている。
■出典
後拾遺集恋三
■作者略歴
生没年未詳。越前守大江雅致の娘で、和泉守橘道貞の妻。夫の死後一条院中宮彰子(上東門院)に仕え、和泉式部と呼ばれた。冷泉院(967)の 2人の皇子、為尊親王、敦道親王との情熱的な恋は「和泉式部日記」に記されている。その後丹後守藤原保昌の妻として丹後に下った。誠心院の尼となった晩年の心境を詠った歌が次。「暗きより 暗き道にぞ 入りぬべき 遥かに照らせ 山の端の月」
【補】
和泉式部の「恋の歌」についてはこちらにまとめた
その中で(私の見解として)あらざらむ」の歌は「橘道貞」ではなく弾正宮を想って詠んだことを示した。
その中で(各種史料から)「暗きより」の歌は晩年ではなく24、5歳のときに詠んだことを示した。