(東京から引っ越してきた人の作った京都小事典)
上ル下ル入ル
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京都式住所表示
(上ル下ル入ル)
を理解すれば、確実に市街目的地近くまで行くことができます
。
「京の通り名わらべ唄」
を覚えていれば地図さえも不要です。
【梅棹事典からの一部引用】
京都市役所は、中京区寺町通御池上ル上本能寺前町にある。これは寺町通りと御池通りの交差点を、御池通りをよこぎって北へいく。そこの上本能寺前町に京都市役所が存在しているということを表示している。京都では四つ辻を基本にして、・・・四つ辻の、よこぎっていく通り名が、かならずうしろにきて、「通り」の字を略すのが住所表示の原則なのである。この原則さえこころえていれば、・・・目的地にたどりつける。これが京の町なのである。
図解すると次のようになる。
1の建物は 「三条通烏丸東入ル」
2の建物は 「河原町通四条上ル」
交差点にある場合は例外か
「南北の通り名」「東西の通り名」
とする
ただし両方とも「通」は付けない。3の建物は 「烏丸四条」
とはいえ
いくつか例外はあるらしい
【私説】
そんなに四つ辻は意識していないと思う。四つ辻を基準に説明しようとすると、わかりやすい説明にならない。
京都人はもっとトップダウンの発想をする。次のような説明がわかりやすい。
まず面している通り名「△△通」を採る
。
面している通り(△△)が東西の通りなら (1の例:三条通)
最も近く交差している南北の「□□」を付ける (1の例:烏丸)
その交差点から「東入ル
(いる)
」か「西入ル
(いる)
」かにする。 (1の例:東入ル)
面している通り(△△)が南北の通りなら (2の例:河原町通)
最も近く交差している東西の「□□」を付ける (2の例:四条)
その交差点から「上ル
(あがる)
」か「下ル
(さがる)
」かにする。 (2の例:上ル)
「□□」には「通」は付けない
。
3の建物
(交差点)
は 「烏丸四条」(「南北」「東西」とする、下の写真
(東山近衛)
で補足します)。
まず面している通り名「△△通」を採る
の例
「3の位置」の典型的表示
(東山近衛)
「3の位置」の
例外
的表示
(御前通四条)
この
角を
「左に」行けば「中堂寺通」、「右に」行けば「下松屋町通」。
「□□」には「通」は付けない
。
私説
を明快に示している。
南北の通りが「東山
(東大路)
通」、東西の通りが「近衛通」だから、ともに「通」を取って。
原則に従えば「御前四条」になるはず。「御前通」が南北の通りとしてあまり認知されていないからか。
【留意】
この方式の難点は、
面している通りのどちら側にあるかは、わからない
こと。
さらにこの後に
町名を付ける
こともあるが、町は通りを挟んで構成されているので
(「
両側町
」と言います)
、町名を示しても通りのどちら側にあるかはわからない。最近では「町名」は
却って逆効果
になっていることさえある。
WebサイトMapionで「京都市中京区竹屋町」で地図を表示させると“いわゆる”町名で検索するので「押小路通高倉東入ル竹屋町」を表示する(左の図)。
現に私は、押小路通高倉東入ルあたりでMapionの印刷地図を持った東京人に「竹屋町通御幸町」への行き方を聞かれた。私の案内にその東京人はなぜMapionの地図が役に立たないのか当惑していた。
(1)Mapionで「竹屋町」を表示させると、左図のようになる。
町は通り
(この例では「押小路通」)
を挟んで構成される。
厳密に住所表示すると「押小路通高倉東入
ル竹屋町
」となる。
(2)一方、行きたい「竹屋町通御幸町」は「右図の赤丸」である。
これだけ離れている。
【誤用】
送り仮名はカタカナの「ル」。
「上る」「上がる」とは書かない。
読みは「あがる」「さがる」「いる」
。
「のぼる」「くだる」「はいる」とは読まない。このへんが東京人には難しい。
ただしIME変換で「あがる」とやっても「上ル」は出てこない。
「あがる」とやると「上がる」と変換される。
「のぼる」とやると「上る」と変換される。
IME変換は京都式住所表示をサポートしていない。
【通好み】
△△が東西の通りなら必ず最後は「入ル」になり、△△が南北の通りなら必ず最後は「上ル」か「下ル」になる。すぐに誤用を指摘できる。
屋号にこの表示法を使っている店も多い。
私のお気に入りの洋食屋「
竹富
」
(H19年閉店)
は「
竹
屋町通
富
小路東入ル
」にあった。
「上ル下ル入ル」方式の住所表示
「通り名」から名付けた店
「
黒門通元誓願寺上ル
」。「ル」は小さく、「町名」も小さく書くのが
正統
。
「竹富」同様、
丸太町通大宮
にある店は「丸大商店」。
【川柳】
上洛に JR使うと くだりなり
寺町上ル どこまで上れば 辿りつく
東入ル 上って西入リ 眼が回る