月待山 　　(INDEX)

• 山頂の特定（地図）
  • 『銀閣寺』門前の「総案内図」が頼り（他に記述した資料がない、下に掲載した写真参照）。『銀閣寺』から見て、奥に大文字山・その手前に月待山・さらに手前に小さな山が見える。
  • これを頼りにルートどおり探索すると、『銀閣寺』の裏手に「石標」のある小さなピークをみつけることができる。この地点が山頂と思われる。
  • この地点をGPSに登録して、『銀閣寺』から見ると正しく「総案内図」の位置にその地点が当て嵌まる。地形図・カシミールから標高は194mとした。ただしピークとしては小さいので確定しにくいが、新たな事実がみつかるまでこの地点を山頂としておく。

• 登頂記録
  • 探索を目的にルートどおりH15-7-27初登頂。
  • ルートをさらに進むと、『銀閣寺』へ下りる道へ出る。ただしこの道は『銀閣寺』の柵（有刺鉄線）に遮られて下りることはできない。少し南へずれながら下りると、法然院の最北地点に出る。ここからも登れることになるが、法然院の石垣を乗り越えることになるので侵入しにくい。

• 月待山
  • 一言で言えば銀閣寺庭園の背後に控える形に特徴のある山。
    • 銀閣寺道から見て大文字山の左手前に見える目立つ山なのですぐわかる。しかし登山には向かない。
  • 銀閣寺庭園で満月を待つとこの山の背後から月が出てくる。
  • 足利義政は「わが庵は　月待山の麓にて　傾むく空の　影をしぞ思う」と詠っている。
  • 「浄土寺大山町」にある。

江戸時代の月待山（都名所図会、安永９年(1780)、国際日本文化研究センター/データベース）
	月待山は銀閣寺の総案内図と同じく大文字山の左手前の山として描かれている 銀閣寺には「銀沙灘・向月台」もしっかり描かれている

• 銀閣寺
  • 文明１５年(1483)室町幕府第八代将軍足利義政は浄土寺の一角に山荘東山殿を完成させた。延徳２年(1490)義政死没の際の遺志によって、東山殿は臨済宗相国寺派に属する寺となり、院号をとって「東山（とうざん）慈照寺」と名付けられた。
    • 旧浄土寺の位置は不明。現在の銀閣寺が旧浄土寺の跡に創られたという説、旧浄土寺は白川のもっと西にあったという説などがある。
  • 東求堂（とうぎゅうどう）・銀閣（国宝）、庭園（特別史跡・特別名勝）にある銀沙灘（ぎんしゃだん）・向月台などが有名。
  • 銀沙灘の上の平面は傾いており、月の光を銀閣の花頭窓から取り込めるようになっていると言われている（中村直勝ら）。
  • 世界遺産に指定されている。

• 近くのグルメ
  • ベーカリー白川
    • 超人気の食パン屋。１斤２２０円（Ｈ１４現在）。
    • 食パンは予約しなければ絶対に買えない。通常は１〜２ヶ月後の食パンがやっと予約できる。お店に取りに行かなければ渡してくれない（地方の人は京都まで出掛ける必要あり）。

銀閣寺		ベーカリー白川

• 雍州府志での記述
  • 慈照寺山
    • 慈照院義政がこの山下に慈照院を建てた。
    • 大永１８年(1538)法住院義澄公は城をこの山に構えた。
      • （注）これが以下に記載の中尾城のことかどうかは不明。
      • （注）蛇足ながら現在の年表では大永は７年までしかない。当時改元通達が徹底されていなかったためと想像される。
    • 万松院義晴公は城をこの山の大嶽中尾に築いた。
      • （注）これは中尾城のことで（中尾山を参照）、築城は天文１８年(1549)である。
    • この山にて「大文字の送り火」をする。
      • （注）「如意嶽」のことであり、明らかな誤りである。
      • （注）義澄公・義晴公の築城の話は「白川山」にも重複して書かれており作者自身ここでも混乱している。
  • 浄土寺山
    • 白川山の南に在る。古え、浄土寺が山上に在った。応仁の乱で浄土寺は絶えた。
      • 慈照寺の本山である相国寺が発信しているＨＰ（上述の銀閣寺リンク）には「平安時代の中期に浄土寺が創建され、この浄土寺跡に東山殿が造営され後に慈照寺となるのです」と書かれている。とすれば「慈照寺山＝浄土寺山」である。雍州府志での記述と異なる。
• 東山国有林風致計画での記述
  • 月待山
    • 如意ヶ嶽の一峯。銀閣寺の上にある。

銀閣寺門前の総案内図（真ん中の山）	銀閣寺道から見る月待山（電信柱の左）	冷泉桜本陵越しに見る月待山（手前の山）

山頂と思われる地点	善気山登山路からの分岐（左の道を進む）	山頂下（銀閣寺の柵）から市街を見る