（東京から引っ越してきた人の作った京都小事典）

中堂寺 　　　　　　　　　　(INDEX：索引へ)

• 中堂寺（ちゅうどうじ、松原通壬生川東入ル、下京区中堂寺西寺町）
  • 山号は真如山。（現在は）浄土宗西山禅林寺派。本尊は阿弥陀如来。門札には「称名院」ともある。
  • 創建、その後の変遷も不詳（が多い）。以下、断片的ながら
  • （寺伝によれば）比叡山延暦寺、横川中堂別院として創建されたという。（いくつかの史料によれば）長和４年(1015)頃天台宗の僧・円仁（794-864）により創建されたとも（矛盾だらけ）。
  • 創建当初は（現在の）「中堂寺藪ノ内町」、その後「高辻通堀川東入ル」に移り、天正年間(1573-)（当初の地に近い）現在の地に移ったとの伝えもある。
    • 歴史書に時折「中堂寺」の名を見つけることはあるが、取り立てて語る程の寺ではないと思うのですが。

中堂寺（中堂寺西寺町、右図の赤字卍）	中堂寺を冠する町の範囲（GoogleMap）	慈雲寺（中堂寺藪ノ内町、左図の青字卍）
どう見ても「普通のお寺」にしか見えません	赤枠は「中堂寺西寺町」、北は松原通、南は六条あたり、東は大宮通の少し西、西は御前通	創建当初の中堂寺のあった所。現在は「島原の妙見さん」（写真）として知られている

• 地名「中堂寺」
  • 「中堂寺村」はいつ頃からあったのか。元亀４年(1573)ルイス・フロイスの書簡に「織田信長が焼き払った」との記述がある。
    • （これと符合するように）永禄元年(1558)（５月）「松永弾正が中堂寺に陣を敷いた」との文献もある（この陣が信長に焼き払われたか）。
    • 松永弾正布陣のために中堂寺は「高辻堀川」に移動させられ、信長勝利後「現在地」へ戻った、と考えれば寺の移設（言い伝え）とも一致する。
    • 勿論「中堂寺村」の名は「中堂寺に依る」と考えるのが自然である。
    
    
  • 現在の町名を分析すると
    • 下京区のほとんどが「単独町名」（例えば、塩竃町）だが、「中堂寺」と「西七条」その他いくつかが「冠町名」になっているだけ。
      • 中堂寺西寺町、中堂寺命婦町、中堂寺櫛笥町、中堂寺壬生川町、中堂寺坊城町、中堂寺籔ノ内町、中堂寺前田町、中堂寺鍵田町、中堂寺北町、中堂寺南町、中堂寺庄ノ内町、中堂寺粟田町（１２町）
    • これくらい中堂寺は広大で、昭文社の地図「京都」にも「中堂寺」の名前が大きく書かれている。
    
    
  • （寺そのものも特別ではないのに）なぜ中堂寺が特別扱いされているのかは、よくわからない。

中堂寺通（中堂寺前田町あたり）	中堂寺の「仁丹町名表示板」（中堂寺櫛笥町）
狭いながら「真っすぐな道」が街を貫いています	通常の表示方式と異なり「萬壽通櫛笥東入」が小さな字で下に書かれている。中堂寺が優先

• （特別でもないのに、この他に）「中堂寺」の名を残しているものもある
  • 中堂寺六斎念仏
    • 元禄年間(1688-)に始まり、京都市の「無形文化財」に登録されている。
    • （因みに）六斎念仏とは
      • 六斎日（毎月の８，１４，１５，２３，２９，３０日）に行われる「踊念仏」（念仏を口に唱え、鉦や太鼓を打ちながら踊躍する）。
      • 空也上人、一遍上人によって始められたと伝えられる。
      • 千本ゑんま堂や吉祥院天満宮などでも行われる。
  • 中堂寺だいこん
    • 江戸時代から「茎大根」として栽培されており、現在は「京都の伝統野菜」に登録されている。
  • 中堂寺通
    • 昭文社の地図「京都」には「JR嵯峨野線（山陰本線）〜大宮通」間の通り（上図参照）として記載されている。