（東京から引っ越してきた人の作った京都小事典：番外）

伊勢神宮の成立 　　　　　　　　　　(INDEX：索引へ)

• 葛城王朝（(1)神武-(2)綏靖-(3)安寧-(4)懿徳-(5)孝昭-(6)孝安-(7)孝霊、朝鮮系（→出雲→ヤマト→出雲））
  • 王朝成立について簡単に引用すると次のとおり。
    • スサノオ−ニギハヤヒ（＝大物主＝大国主命）は、朝鮮から海を渡って「出雲のオロチ族」を滅ぼして、出雲を占有した。
    • 出雲で力を蓄えたニギハヤヒ父子は東遷し、大和（磯城・葛城地方）の先住民ナガスクネヒコ（長髄彦）を滅ぼした。
    • ヤマトに王権を確立したのは「ニギハヤヒの娘婿となった(1)神武」のとき。時は２２０年頃。
  • 王朝として祀った神はいなかったようです。

『ヤマト王権の推移』と『伊勢神宮関連』 �A三輪王朝： 　「笠縫邑」（場所は諸説あり）にアマテラス 　「三輪山」（▲、麓の三輪大社）に大物主大神 　　　　　を祀る �B河内王朝： 　　高皇産霊神を祀る（場所は不明） 　　アマテラスは伊勢へ �C近江王朝： 　　仏教の摂取に精一杯 �D飛鳥京（(40)天武）： 　「泊瀬」の斎宮に大伯皇女を送る

• 三輪王朝（(8)孝元-(9)開化-(10)崇神-(11)垂仁-(12)景行-(13)成務-(14)仲哀、天孫族（日向→吉備→ヤマト→滅亡））
  • 王朝成立について簡単に引用すると次のとおり。
    • 天孫族の父(8)孝元の下、日向で邪馬台国の主導者になったヒミコ−(9)開化は、吉備を経て東遷し、ヤマトの葛城王朝を圧迫した。
      • ヒミコ（＝倭迹迹日百襲姫命（孝元(8)の娘））は２４８年吉備制圧中、病没した（ヤマトの箸墓に埋葬された）。
    • (9)開化−(10)崇神は、時間をかけて葛城王朝を懐柔し、３１０年頃(10)崇神が大和（三輪地方）で王権を確立した。
      • 葛城王朝最後の王(7)孝霊は「出雲大社の造営」を約束され出雲に戻った。
        • この件が（古事記に出てくる）「大国主の国譲り」。
  • 「天孫族」は「祖先神」として崇めていたアマテラス（多分「ヒミコ」の母または祖母、これは想像）を（日本書紀に出てくる）笠縫邑（現在の「桜井市檜原神社」）に祀った。
    • (11)垂仁の頃と思われる。これが伊勢神宮の原形か。
  • 一方、葛城王朝は懐柔策として「大物主大神」という神を作って三輪大社の祭神にした。出雲大社の祭神も「大国主大神」とした。葛城王朝は「よく気の廻る王朝」だったようです。

『三輪王朝』 (11)垂仁・(12)景行は「天皇」を省略 　　　　（表示スペースの関係） 緑破線＝「記紀」の創作

• 河内王朝（(15)応神-(16)仁徳-(17)履中-(18)反正-(19)允恭-(20)安康-(21)雄略-(22)清寧、朝鮮系（→宇佐→難波→ヤマト→消滅））
  • 王朝成立について簡単に引用すると次のとおり。
    • 三輪王朝が周辺国統治に苦しんでいる頃、朝鮮から渡来してきた気長足姫尊−(15)応神は北九州（宇佐地方）を席巻し、一気にヤマトに攻め込んだ。
    • (15)応神は、(14)仲哀を滅ぼし３９０年頃ヤマト王権を簒奪、拠点を難波・河内に構えた。
      • 簒奪の事情・「対朝鮮対策」の必要性から、暫くは「ヤマト」には入れなかった。
      • 遣宋使によって諸課題が漸く落ち着き、(20)安康が「石上」、(21)雄略が「泊瀬」、(22)清寧が「磐余」とやっと「ヤマト」に入れるようになった。
  • 河内王朝は、朝鮮（百済）時代から高皇産霊神（タカミムスヒ、古事記では高御産巣日神）を持っており、これを祀った。
    • 結果、邪魔となったアマテラスは(21)雄略の頃（ヤマトの三輪王朝とはなんの関係もない）伊勢へ追いやられた。
      • （後付けの説明は多々ありますが本当のところ）なぜ「伊勢だったのか」はわからない。「ヤマトから離れていればよい」くらいの考えではなかったか。
      • 追いやれた先は、元々「土着の神」が祀られていた神社だったと想像される。
        • （想像するに）その土着の神が「度会」氏が守る「豊受大神」で、現在の「外宮」になり
        • 後から来たアマテラスは「荒木田」氏が守り、現在の「内宮」になった。
      • その結果、(21)雄略の頃、アマテラスと豊受大神をを祀る伊勢神宮ができた。

『河内王朝』 赤取消線＝(21)雄略の粛清 青取消線＝(20)安康の謀殺 紫取消線＝(20)安康の流刑（先で自害） 緑破線＝＝「記紀」の創作

• 近江王朝（(26)継体-(27)安閑-(28)宣化-(29)欽明----、蝦夷系（？→越→ヤマト→混交））
  • 王朝成立について簡単に引用すると次のとおり。
    • ヤマトが後継者を探しているとの声を聞いて、越の豪族(26)継体は「我は応神の五世孫なり」と声を上げた。
    • (26)継体は、息子の「(27)安閑・(28)宣化」を引き連れて、「樟葉宮」（河内）に入って即位した。これが５０７年。
    • (26)継体は体制安定化のため、河内王朝の血筋の女性（手白香皇女）を迎え(29)欽明をもうけた。この(29)欽明が跡を継ぎ、(26)継体-(29)欽明が現在の天皇家の祖（蝦夷・朝鮮の混血）となった。
  • (29)欽明の頃、仏教が伝来（５３８年）、厩戸皇子を代表に、近江王朝は仏教の摂取に熱心に取り組み、神の祭祀は疎かになったかと思われます。
    • （ヤマトに鎮座していた）高皇産霊神は朝鮮の神なので、流石にこれを祀ることは無かった、と思います。

『近江王朝』 (26)継体以外は「天皇」を省略 青破線＝＝即位は「記紀」の創作 緑破線＝＝人名は「記紀」の創作 赤取消線＝蘇我馬子の暗殺 紫破線＝＝業績は「記紀」の創作

• 大化の改新・壬申の乱を経て平城京へ（(36)孝徳-(37)斉明-(38)天智-(39)弘文-(40)天武----、（以下、伊勢神宮に関することのみ））
  • 近江朝廷（(38)天智-(39)弘文）に対する反乱となった「壬申の乱」で
    • (40)天武は、吉野から伊勢国に入って国司の出迎えを受けた。(40)天武は、吉野を出てすぐに伊勢神宮に勝利を祈願したお陰だと、考えた。
    • その後、美濃国・尾張国からも次々と援兵を得て、不破・瀬田を破り、壬申の乱に勝利した（６７２年）。
    • 即位した６７３年（祈願成就の感謝をこめて）大伯皇女を「泊瀬の斎宮」に送り、翌年伊勢に参向させた（史実として確実）。ここに斎宮制度が確立した。
      • 「記紀」には、(33)推古以前に皇女が伊勢に侍したという記事があるが、(34)舒明〜(38)天智の間には記事が無い。(33)推古以前の記事は「創作」と思われる。
    • ６９１年には(41)持統が（天皇として初めて）伊勢に行幸した。
    
    
  • (44)元正の頃（(40)天武の肝煎りだった）日本書紀（養老４年(720)）が完成し、その中でアマテラスは「天照大神」となり、皇祖神に位置付けられた（現在の天皇家の先祖は「三輪王朝」という説）。
    • 一方、古事記（和銅５年(712)）では「天照大御神」と表記され、「皇祖神」高皇産霊神と並んで皇祖神に位置付けられた（現在の天皇家の先祖は「三輪王朝・河内王朝」（継続）という説）。
    • さらに「記紀」では両書とも、(1)神武を初代天皇としているにも拘わらず、大物主を皇祖神としていない（矛盾だらけ）。
    
    
  • 「続日本紀」天平９年(737)の条で伊勢神宮のみが神宮と呼ばれる、天平宝字２年(758)(47)淳仁即位の宣命に「伊勢神宮」が述べられるなど地位が向上した。
    • このように次第に天照大神が最高の皇祖神と見られるようになり、伊勢神宮の地位は不動のものになっていった。さらに「国家神」の様相も呈してきた。

• 元伊勢
  • 元伊勢とは「伊勢神宮が現在の地へ遷る以前に、一時的に祀られたという伝承を持つ神社や場所」のこと。その数は多く、ほとんどが関西にある。こちらが詳しい。
    • これを分析すると伊勢神宮遷移の状況がわかるのだが、（申し訳ないですが）「きちんと分析できていない」。
  1. 吉備：三輪王朝（ヒミコ）が「日向から東遷」の途中、吉備に長く滞在し一応征服したのだから、この地方に「元伊勢」があっても不思議はない。
  2. 奈良：三輪王朝が三輪地方に定着したときに「アマテラスを祀る」ために作った神社（後に伊勢に追いやられた結果「元伊勢」になった）がある。
     • 「笠縫邑」（現在の「桜井市檜原神社」）が最も有力な説だが、他にもいろいろな説があって、それらが皆「元伊勢」と称している。
  3. 伊勢（近く）：アマテラスが河内王朝によってヤマトから追いやられる際、（安住の地を探し歩いて）各地を彷徨ったのではないか。あるいは現在の地に落ち着いてからも、災害・修理などで、一時的に場所を移ったこともあるだろう。それらが皆「元伊勢」になったと考えられる。
     
     
  4. 丹後半島：ここは出雲との間だから葛城王朝（大物主）が往復したところ。出雲大社関連があるのはよいが、「元伊勢」がある理由は説明し難い（小林史観の弱点）。強いて説明すれば、葛城王朝（(7)孝霊）を出雲に戻すときに、三輪王朝が随行して「アマテラスを祀る神社」を作って行ったとか。
     • 京都府福知山に「元伊勢三社」（元伊勢内宮皇大神社、元伊勢外宮豊受大神社、天岩戸神社）、
     • 京都府宮津に「元伊勢籠神社」などがある。
  5. 名古屋・滋賀県：（ここもうまく説明できないが）この地域は(40)天武が壬申の乱で進軍した場所で、後から「進軍行路」に「天照大神」を祀る神社を作ったか。

• 高皇産霊神のその後
  • 河内王朝が「皇祖神」高皇産霊神をどこで祀ったか、わかっていない。
    • 河内王朝東遷の跡（北九州、河内）に残っているとは思うのですが。
  • (40)天武がアマテラスを皇祖神に押し上げたため、（時代とともに、いつの間にか）高皇産霊神は普通の神に成り下がった。
    • 上記足跡を含めて、高皇産霊神を祭神とする神社は今なお多くありますが（参考）、ほとんどの人にとってあまり知らない神になってしまった。

日向大神宮	伊勢神宮遥拝所	京都大神宮
「京のお伊勢さん」と呼ばれている。なんとなく「雰囲気」が伊勢神宮に似ている	日向大神宮から「山道を１０分弱」歩くと、伊勢神宮を遥拝できる場所がある	明治になってお伊勢参りができない人のために造営された。ここで「お伊勢参り」ができる

• 京都で見られる天照大神
  • 京都市に居ながらお伊勢参りができる（した気分になる）場所について、上の写真にまとめた。
  • 神明系の神社などに行けば、天照大神を参拝できる。