90.殷富門院大輔
いんぷもん 上の句順 下の句順
(INDEX)
みせはやな |
をしまのあまの |
そてたにも |
ぬれにそぬれし |
いろはかはらす |
見せばやな |
をじまの蜑の |
袖だにも |
ぬれにぞぬれし |
色はかはらず |
見せばやな |
雄島の蜑の |
袖だにも |
濡にぞ濡し |
色は変はらず |
- ■歌について
- 俊恵法師の後に続いて載っていることから、歌林苑の歌合の歌ではないかと考えられる。「血の涙に濡れる」を思わせる。当時から有名な歌であったが、近世では誇張が目立って秀歌とは評価されていない。「松島や
雄島の磯に あさりせし あまの袖こそ かくは濡れしか」(源重之)が本歌。
- ■出典
- 千載集恋四
- ■作者略歴
- 1131?-1200?。従五位下藤原信成の娘、といわれる。藤原清輔の歌合によく参加。女房歌人としてよく知られていた。この殷富門院は、後白河天皇の皇女亮子(すけこ)(式子内親王の姉)。
- 【補】
- 仕えていた殷富門院(式子の姉)については式子内親王で簡単に触れた。あまり仲が良くなかった様子。