- 東京にいたとき思っていた六地蔵は、辞典のＡ項に相当する。鎌倉由比ガ浜通りにある六地蔵が印象に残っている。
- 京都に来てすぐに知った六地蔵は、辞典の(2)の地名。京阪電車の六地蔵駅であった。
- 京阪電車の六地蔵駅近くの大善寺にはお地蔵さんが一体しかない。
- それなのになぜ六地蔵という名が付いたのか不思議だった。
①六地蔵駅近くにある伏見地蔵（大善寺、伏見区桃山町西町） ②鳥羽離宮近くにある鳥羽地蔵（浄禅寺、上鳥羽岩ノ本町） 
旧奈良街道に面する大善寺 （六角の）六地蔵堂内の石地蔵立像 旧鳥羽街道（上鳥羽）に面する浄禅寺 浄禅寺地蔵堂の扁額
- 京都では８月２２日～２３日に「京の六地蔵めぐり」が行われる。
- 旧街道の入り口に安置された六箇所のお地蔵さんを巡ってお祈りをする。
- 大善寺の伏見地蔵（奈良街道）
- 浄禅寺の鳥羽地蔵（鳥羽街道）
- 地蔵寺の桂地蔵（山陰街道）
- 源光寺の常盤地蔵（周山街道）
- 上善寺の鞍馬口地蔵（鞍馬街道）
- 徳林庵の山科地蔵（東海道）
- （注）順番は「浄禅寺」（徳林庵も）地蔵堂の扁額どおりとした（下の地図）が、上善寺には第一番六地蔵尊の石標が建っている（下の写真）。
- 各お寺で授与される六種のお幡を入り口に吊すと、厄病退散・福徳招来するといわれています。
- お地蔵さんの縁日は「全国的には２４日」なのですが、京都の地蔵盆は８月２２日～２４日に行われる。
③桂離宮近くにある桂地蔵（地蔵寺） ④嵐電常盤駅近くにある常盤地蔵（源光寺） 
旧山陰街道に面している地蔵寺 地蔵堂に安置されているお地蔵さん 旧周山街道に面している源光寺 源光寺の地蔵堂 ⑤出雲路橋（賀茂川）近くにある鞍馬口地蔵（上善寺） ⑥山科駅近くにある山科地蔵（徳林庵） 
鞍馬街道に面している上善寺 上善寺の（六角）地蔵堂 旧東海道に面している徳林庵 六地蔵の説明扁額が懸かっている
- 徳林庵（山科区四ノ宮泉水町）の扁額には「六つの辻 四つのちまたに 地蔵そん 道ひきたまへ みだの浄土に」とある。
- 六つの辻＝六道の（地獄道など）
- 四つのちまた（巷）に＝曲がり角（四つだから交差点か）ごとに
- 地蔵そん＝地蔵尊（お地蔵さん）（が立っていますよ）
- 道ひきたまへ＝導き給え（六道の“道”と導くの“みち”を懸けた）
- みだ（弥陀）の浄土に＝地蔵尊は浄土教ばかりではないですが（浄土教が盛んな地域だったか）
- 「鞍馬街道」の地蔵堂は変遷があるようです。
- 旧街道の入り口に安置された六箇所のお地蔵さんを巡ってお祈りをする。
- 私の拙い調べによると、次のような経緯らしい（まとめ）。
- 小野篁（冥府の弁官との噂がある）が重い病気にかかり生死の境をさまよった際、地蔵菩薩の導きで奇跡的に回復し、その地蔵菩薩に感謝するため、木幡山の桜の古木に六体の地蔵尊を刻んで今の伏見・大善寺におさめたと言われています。これが京都の「六地蔵」の始まりのようです。地名もここからきています。
- 保元２年(1157)六地蔵を篤く信仰した後白河法皇の勅命により、平清盛が西光法師に命じて、京都の街道の入り口六ヶ所に六角堂を建て、一体づつ安置した。これで分散配置になった。
- 元々は六体地蔵であったのが、旧街道口に分散された。でも呼び名は「六地蔵」を変えなかった。そして大本の大善寺あたりの地名も「六地蔵」のまま残った、ということらしい。
- 「六地蔵を廻る」風習ができたことで廻地蔵（まわりじぞう）とも呼ばれた（多分、江戸時代）。
- 六体並ぶときは、向かって左から地獄道（壇蛇菩薩）、餓鬼道（宝珠菩薩）、畜生道（宝印菩薩）、修羅道（持地菩薩）、人間道（除蓋障菩薩）、天上道（日光菩薩）となるようです。
