御生山
(INDEX)
独断評価 | 発見難易度 | 登頂体力度 | 頂上眺望度 | 山行愉悦度 | 総合評価 |
5点満点 | ★★★ | ★★★★★ | ★★ | ★★★★ | 2.8 |
- 山頂の特定(地図)
- 『御蔭神社』鳥居前から東方向に登山道を登っていき標高200mあたり(稜線への分岐)で左の山道に入って稜線を詰めていけばなだらかなピークに着く。これが御生山。
- 山頂に表示は無い。境界を示す赤と黒の杭が稜線伝いに埋められていて、最後の1個がピークにある。北西側は若干開けていて多少の見晴らしはある。
- 山頂はなだらかなはずである。なにしろ山頂は「御蔭山城跡」なのだから。
- 京都市遺跡地図台帳には「高野川の左岸、御蔭山の中腹の標高230m付近に造られた山城。土豪佐竹氏の本城とされる。山の北斜面を大きくカットして造られた郭や曲輪が良好に残る」と記載されている。
- 確かに山頂の南側には石垣が残っている。
- 東山三十六峰の山頂にかつて城があったのは、この他に修学院山、瓜生山、如意ヶ岳、霊山、阿弥陀ヶ峰で、合計で6山ある。
- 東山三十六峰周辺の山(「私の選定した東山三十六峰」を含む)の山頂(または近く)に城があった山は、てん子山、中尾山、大日山、吉田山の4山ある。
- これらは東山三十六峰周辺の山城にまとめた。
- 1万分の1地形図には標高点(234m)があるので御生山の標高は234mとした。
- 山頂地点の数値地図の標高は239mである。標高点との違い(5m差)はよくわからない(東山三十六峰に関する統計を参照)。
- 南南西に標高271mのピークがあるが、これは御生山とは別の山である。
- 登頂記録
- 初登頂は、H15-01-25。山頂探索を目的に、前夜の雪を踏んで登った。
- 探索は難渋したが、わかってしまえば比較的簡単。「登山ルート」に示した。
- 『御蔭神社』鳥居からの山道は比叡山への隠れた登山道になっているらしく木にマークが見られるので、これを追っていけば「稜線への分岐」まではわかりやすい。
- 『御蔭神社』鳥居までは叡山電車「八瀬遊園」駅から吊橋を渡って川沿いに進めばよいが、途中野猿が多いので要注意。
- 御生山
- 一言で言えば比叡山の南(手前)、御蔭神社の背後に聳える小高い山。
- 三宅八幡あたりの集落から見ると「比叡山の手前に小さく」に見える。あまり目立たない。
- 『御蔭神社』の祭神玉依日売命(たまよりひめのみこと)が上賀茂神社の祭神別雷命(わけいかずちのみこと)を生んだことから、御生山(みあれやま)と呼ばれるようになったという説がある(他説も多々ある)。
- 「ミショウヤマ」と読まれることもあり、謂れも読みも難しい。
- 藤原為家の歌「契りをきて くもらぬ神の みかげ山 むかしの跡ぞ 今もかしこき」にあるように「御蔭山」とも呼ばれてきた(麓には「御蔭山橋」もある)。
- また双葉葵が植生することから「二葉山」とも呼ばれた。
- 御蔭祭との関連を重視して私も御蔭山と呼びたい。
- 紛らわしい町名だが「上高野東山」にある。
- 御蔭神社
- 祭神は玉依日売命と、その父神にあたる賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)。
- 葵祭の神霊が御蔭神社に御座していることから、毎年葵祭に先だって賀茂神社に神霊を迎える「御蔭祭」が行われる。このときだけが賑わう。
- 神霊を迎える行列が通る道筋を「御蔭通(みかげどおり)」と言う。
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御蔭神社の鳥居 |
最近公開を始めた近くの「瑠璃光院」 |
赤山禅院と宝幢寺の間には「御蔭祭巡行道跡」が残る |
- 書籍などからの情報
- 司馬遼太郎の「八咫烏」
- 「いまの比叡山麓に、御生山(みあれやま)という小さな岡がある。八咫烏は、この岡のうえに住んだ。八咫烏を祭神とする御蔭(みかげ)神社という名の古社が、その岡に残っている。京福電鉄三宅八幡駅の東北にある」
「八咫烏は、建津身命(たけつみのみこと)という、もっともらしい名前までつけてもらっていた」との記載がある。
- 「八咫烏」に関する記載以外は、私の調査と同一である。
- 「小説新潮」昭和36年1月号
- 天孫族(司馬は「海族」と表現)が八咫烏(出雲族と海族の混血孤児)の案内でマヤトを平定したという話。
- 近くの仏閣神社
- 蓮華寺
- 寛文元年(1661)加賀前田綱利に仕えた今枝近義が、延暦寺の実蔵坊実俊を開基として創建。天台宗。
- 門を潜ってすぐの高い銀杏は目を引く。池庭の紅葉も幽邃。
- 本堂の前にある二基の石灯篭は「蓮華寺形」として知られている。江戸初期の作。
- 本堂は黄檗風、文人趣味的。蝉の錠前、厨子の螺鈿も見逃せない。
- 私のお気に入り寺社の一つ。
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本堂にある蝉の錠前 |
蓮華寺形石灯篭 |
紅葉する書院前庭園 |
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八瀬遊園駅から見る御生山 |
三宅八幡から見る御生山(右はてん子山) |
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御生山頂(最近「表札」ができた) |
登山道から御生山へ入る「稜線への分岐」 |