(東京から引っ越してきた人の作った京都小事典)
路地と図子
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「路地」という言葉は、京都とその他の地域(例えば東京)とでは、少し意味が違う。かつ京都では「ろうじ」と呼ぶ。「ろじ」ではない。
京都には似たような言葉に「図子」がある。この2つの違いを理解していないと、京都の人との話で少しギクシャクする。
さらに「突抜」、「露地」、「辻子」もある。
- 【路地の理解】
- 広辞苑(=その他の地域(例えば東京)の理解)によれば人家の間の狭い道路とある。
- 京都の人は「人家の間の狭い道路」を2つに分けて理解している。それが「路地と図子」である。
- 典型的な「路地」
- 路地をもう少し詳しく説明すると、一般的に多い形態は
- 行き止まりになった道のコの字の部分に家が並び、
- そのコの字の入口に家の数だけ表札が掛けられている。
「醒ヶ井通」で見つけた「路地」(10軒の家が共有している)。
この先は「行き止まり」になっている。
- 「図子」
- 「図子」は「路地」より大きいので名前が付いていることが多い。
- 時には「突抜」(「つきぬけ」と読む)と言うこともある。突き抜けられるから「図子」と同じ。
写真は「御霊図子」。寺町通から「丸太町通の1本南の狭い道路」を東に見たところ。
この図子は「寺町通〜河原町通」間を突き抜けている(新椹木町通までか)。
「下御霊神社」の南にあることから「御霊図子」との名前が付いている。
仁丹看板には「新烏丸通御霊図子下ル」とあるから「図子」は通りと同じ扱いのように見える。
有名なところでは、「了頓図子」(三条衣棚)、「革堂図子」「紋屋図子」(西陣)、「橦木図子」(室町)など。
- 【露地】
- 広辞苑によれば
- 屋根などのおおいがなく、露出した地面
- 草案式の茶室の庭園
- と2つの説明がある。
- 時代とともに、解釈が少し変わって
- 転じて
- 茶室で行き止まる道を意味するようにもなった
- これが露地の始まりか。【私説】
写真は仙洞御所「又新亭」(ゆうしんてい)の『露地』。
茶道では「廊地」「路次」と書くこともある。
「関守石」(蕨縄で十文字に結んだ石)があり「通行止め」を意味している。
- 【通好み:辻子】
- 上記の他に、「辻子」と表記される「細い道路」もある。有名なところでは「膏薬辻子」(写真)。
- 膏薬辻子の「高札」によれば「四条通から中ほどで折れ曲がり綾小路通までを走る細い道」とある。
- 「突き抜けられる」のだから、(上述の定義から)「図子」である。膏薬辻子の「高札」にも「こうやくのずし」と仮名が振ってある。すなわち辻子はずしと読む。
- 「辻子」とは「もう少し細い図子」で、(「つじ」とは読まずに)辻子を「ずし」と読めれば“京都人”である。
写真は「膏薬辻子」。四条通新町西入ルから「南へ下り
(写真のように)途中でクランクして、綾小路通へ」抜けている。
このように「2回もクランク」している辻子もある。
- 【川柳】
- 火事が出て 路地に逃げると 袋焦げ
- 急ぐとき 図子を抜ければ 早回り