（東京から引っ越してきた人の作った京都小事典）

五重塔 　　　　　　　　　　(INDEX：索引へ)

• 全国の五重塔の概要（対象は上述の２２塔）
  • 都道府県別の分布
    • 最多は京都の５。
      • 奈良が最多かと思っていたが、そうではなかった。「奈良は３」（法隆寺、室生寺、興福寺）。
    • ２塔あるのが東京（本門寺、旧寛永寺）、広島（明王院、厳島神社）。
    • それ以外は「１塔」（青森、山形、栃木、千葉、新潟、石川、静岡、愛知、岡山、山口）。
    
    
  • 国宝は「９塔」（その内３塔は京都、後述）
    • 世界最古の木造建築「法隆寺」、室生寺、興福寺、明王院、羽黒山、瑠璃光寺。
    • 残りの「１３塔」は「重要文化財」。

• 京都の五重塔
  • 国宝の五重塔（括弧内は現存する塔の建立時期）

    醍醐寺（天暦５年(951)）	海住山寺（建保２年(1214)）	東寺（寛永２１年(1644)）
    塔は建立当時のまま（焼失していない）。高さは約３７ｍ	現在の地に移ったのが承元２年(1208)。移転当時のまま。高さは１８ｍ弱（２２塔の中で最小）	焼失が多く再建の歴史が物語る。新しい割には国宝。高さは５５ｍ弱で最高

  • 重要文化財の五重塔

    法観寺（永享１２年(1440)）	仁和寺（寛永１４年(1637)）
    寺は古い、塔は４回目の再建か。市内では目立つ。高さは約３６ｍ	この寺も古いが、記録が残っていない。何回目の再建かも不明。高さは約３３ｍ

  • （番外の）五重塔（京都にはもう一つある）
    • ごく最近、木造で再建された（竹中工務店）。これを含めれば京都には６塔あることになる。

    成相寺（平成１０年(1998)）

    天橋立がよく見える。高さは約３３ｍ

  • （加えて）歴史上に「名を残す」五重塔もある（現存しない、調べればまだ他にもあるかもしれませんが）
    • �@法住寺（後白河院の頃（永暦２年(1161)）建立か、安元３年(1177)には五重塔はあった、寿永２年(1183)焼失）
    • �A西寺（元慶６年(882)建立開始、天福元年(1233)の火災で焼失）
    
    

    都名所図会（安永９年(1780)、国際日本文化研究センター/データベース）に描かれている五重塔
    �B本圀寺（日伝上人（応永１６年(1409)没、寺は六条にあった）の時建立、天明の大火（1788年)で焼失）	�C妙顕寺（日延上人（延宝９年(1681)没、寺は現在の地にあった）の時建立、天明の大火（1788年)で焼失）

• （参考）三重塔（完全に調べ切れていないので、以下簡単に）
  
  
  • 都道府県別の分布
    • 明治より前の建立で、現存するのは１０５塔（らしい）。
      • その内京都には９塔ある。
      • 京都が特に「優位」ということはない。
    
    
  • 国宝は「１１塔」（その内１塔は京都、後述）
    • 奈良に古い三重塔が多く残る（法起寺、薬師寺、当麻寺、興福寺）。
    
    
  • 京都の三重塔（高さ：「約」は省略で概数、拝観：私のメモ、リンクを辿れば三重塔の写真が見られます）

    お寺	認定	高さ	現存の建立	拝観	備考
    浄瑠璃寺	国宝	１６ｍ	治承２年(1178)		国宝三重塔の中で最小、「建立」欄は現在の地へ移築時期（建立はもう少し前）
    岩船寺	重文	２１ｍ	嘉吉２年(1442)
    金剛院	重文	２５ｍ	室町時代中期	未	舞鶴市
    宝積寺	重文	２０ｍ	慶長９年(1604)		大山崎町
    清水寺	重文	２５ｍ	寛永９年(1632)
    清水寺泰産寺		１２ｍ	寛永年間		子安塔と通称される、清水寺本堂に対面する形で建立
    金戒光明寺	重文	２２ｍ	寛永１０年(1633)		文殊塔と呼ばれることが多い、建立当時のまま
    三室戸寺		１６ｍ	元禄１７年(1704)		以降数回、現在の敷地の中で移築されている
    真正極楽寺		２３ｍ	文化１４年(1817)		通称真如堂、この三重塔と金戒光明寺の文殊塔は（近くにあるので）並んで見える

    
    

    都名所図会（安永９年(1780)、国際日本文化研究センター/データベース）に描かれている（現存しない）三重塔
    本能寺（五重塔は元和７年(1621)別の寺から（現在の地（寺町通御池下ル）に）移設された、天明の大火で焼失）。図に「信長墳」とあるのは「当時の理解」（誤り）	誓願寺（が新京極六角に移ってから、元和８年(1622)建立された、天明の大火（1788年)で焼失）。図下の通りは（現在の）新京極通	相国寺（承応２年(1653)後水尾天皇が再建、天明の大火（1788年)で焼失）。（現在は山門も仏殿も無くなっている）