（東京から引っ越してきた人の作った京都小事典）

（京都市にある）西国三十三所観音霊場 　　　　　　　　　　(INDEX：索引へ)

• 西国三十三所観音巡礼の歴史
  • 養老２年(718)大和長谷寺の開山徳道上人は「世の中の悩む人々を救う」ために、閻魔大王から勧められた「三十三の観音霊場巡り」を考案した。が、当時の人々には受け入れられなかった。
  • 寛和２年(986)１９歳の若さで退位させられた花山法皇が、比叡山で修行の後、さらに那智山で修行をしながら「三十三所観音巡り」を再興させた、ことに始まる。
    • 「花山法皇の三十三所観音巡り」と「閻魔大王が勧めた三十三の観音霊場巡り」の『霊場が一致』しているかと言うと、一致しているという確実な史料は見つかっていない。
  • 江戸時代になって、関東に「坂東三十三所巡礼」「秩父三十四所巡礼」などができたことで、花山法皇が再興した観音巡礼は「西国三十三所観音巡礼」と呼ばれるようになった。
  • 昔は巡礼の際「寺に（持参の札を）納札」していたことから、巡礼の寺院を「札所」と呼ぶことも多くなった。西国三十三所観音霊場も「札所」と呼ばれ、西国札所と略されることもある。
    • 最近は「納札」ではなく「御朱印を捺して頂く」のが主流になっている。

• 京都市にある西国三十三所観音霊場
  • 京都府「１１ヶ所」の内７ヶ所が京都市内にある（写真の下の段は「御詠歌」）。
  • さらに（不勉強でいつの頃か明確にはわからない）「番外」が「１ヶ所」京都市に追加された。

（第十一番 深雪山）上醍醐 准胝堂（醍醐寺）	（第十五番 新那智山）今熊野観音寺（観音寺）
（御詠歌）逆縁も もらさで救う 願なれば 准胝堂は たのもしきかな	昔より 立つとも知らぬ 今熊野 ほとけの誓い あらたなりけり
写真（撮影：宮下）は「准胝堂」の前にある「醍醐水」。上醍醐は醍醐寺から山道を１５分程登る	今熊野観音寺は市バス停「泉涌寺道」から１０分程歩く
（第十六番 音羽山）清水寺	（第十七番 補陀落山）六波羅蜜寺
（御詠歌）松風や 音羽の滝の 清水を むすぶ心は 涼しかるらん	重くとも 五つの罪は よもあらじ 六波羅堂へ 参る身なれば
写真は「仁王門と西門」。清水寺は市バス停「清水道 or 五条坂」から１０分程歩く	六波羅蜜寺は市バス停「清水道」から７分程歩く
（第十八番 紫雲山）六角堂 頂法寺	（第十九番 霊鹿山）革堂 行願寺
（御詠歌）わが思う 心のうちは 六の角 ただ円かれと 祈るなりけり	花を見て いまは望みも 革堂の 庭の千草も 盛りなるらん
六角堂は市バス停「烏丸三条」からわずか２分も歩けば着く	革堂は市バス停「河原町丸太町」から５分も歩けば着く
（第二十番 西山）善峯寺	（番外 華頂山）元慶寺
（御詠歌）野をもすぎ 山路にむかふ 雨の空 善峯よりも 晴るる夕立	待てといわば いとも畏し 花山に しばしと啼かん 鳥の音もがな
写真は「多宝塔」。善峯寺は阪急バス停「善峯寺」から１０分程歩く。市内の中では最も遠い	写真は「山門」。花山法皇が出家された寺ということで、番外に選ばれた。元慶寺は京阪バス停「北花山」から５分程歩く

• 京都府にある西国三十三所観音霊場
  • 京都府「１１ヶ所」の内４ヶ所が京都市外にある。
  • ただし、その内の１ヶ所「（第二十一番 菩提山）穴太寺」（亀岡市）は、写真を撮り損なった（巡礼当時はカメラを持って歩かなかった）ので、写真は省略。

（第十番 明星山）三室戸寺	（第二十八番 成相山）成相寺	（第二十九番 青葉山）松尾寺
写真は「本堂」。三室戸寺は宇治市、京都京阪バス停「三室戸」から１５分程歩く（私の初巡礼の頃はバスが無く「京阪三室戸駅」から３０分歩いた）	写真は（最近建てられた）「五重塔」。成相寺は宮津市、丹海バスに長いこと揺られて、バス停「成相寺」から１０分程登る	写真は「本堂」。松尾寺は舞鶴市、京都交通バス停「松尾寺口」から４５分は歩く。本ページの中で最も行き難い

• （参考）京都のその他の巡礼（すべてを列挙している訳ではありません）
  • 洛陽三十三所観音巡礼
    • 京都だけで「三十三所観音」の巡礼ができるようにと考え出されたもの。
    • 当然「西国三十三所観音霊場」と重複する（六角堂、革堂、清水寺、六波羅蜜寺、今熊野観音寺）。上醍醐、善峯寺は「洛陽」ではないと判断されたらしい。
  • 乾三十三所霊場（未確定、欠落あり）
    • 「洛中の北西部」（上京区西部と北区南西部）で「三十三所観音」の巡礼ができるようにと考え出されたもの。
    • 記録が不十分で「三十三所」すべてが確定していない。
    • 同様に「洛西三十三所霊場」もあるが、欠落が多い。
    
    
  • 御室八十八ヶ所霊場
    • 以下「観音霊場」ではない。御室で「一日お遍路」ができるようにと、仁和寺が「四国八十八ヶ所霊場」を作った。
  • 洛陽十二薬師霊場
    • 京都で「薬師如来」を巡礼しようというもの。薬師十二所参り、都十二薬師とも呼ばれることもある。
    • 紛らわしいが「京都七所薬師霊場」というのもある。
  • 洛陽六阿弥陀巡り
    • 京都で「阿弥陀如来」を巡礼しようというもの。
  • 京都十三仏霊場
    • 「いろいろな仏様」（釈迦如来、阿弥陀如来、大日如来、不動明王、いろいろな菩薩）を巡礼しようというもの。
    • でも「薬師如来、観音菩薩」も入っているから、ややこしい。
    
    
  • 洛陽十二支妙見巡り
    • 妙見は、その起源は「中央アジアの遊牧民」の「北極星信仰」といわれ、道教・仏教と混交しながら日本に伝わった（平安時代か）。妙見菩薩となり、厄除け・八方除けに御利益があるとされた。
    • ということで、京都にも「十二方位」に「妙見宮」がある。多くが日蓮宗の寺にある（「日蓮が妙見を信仰していた」とも言われているからか）。

    干支	方位	通称	正式名称	宗派	所在地	干支	方位	通称	正式名称	宗派	所在地
    子	北	西陣の妙見宮	日洋山善行院	日蓮宗	新町通上御霊西入ル	丑	北北東	出町の妙見さん	広布山本満寺	日蓮宗	寺町通今出川上ル
    寅	東北東	修学院の妙見さん	法華山道入寺	日蓮宗	修学院茶屋ノ前町	卯	東	鹿ヶ谷の妙見さん	円成山霊鑑寺	臨済宗南禅寺派	鹿ケ谷御所ノ段町
    辰	東南東	岡崎の妙見さん	示現山満願寺	日蓮宗	岡崎法勝寺町	巳	南南東	清水の鎮宅妙見宮	常照山日體寺	日蓮宗	清水４丁目
    午	南	伏見大手筋の妙見さん	福昌山本教寺	日蓮宗	東大手町	未	南南西	未の方の妙見さん	成就山法華寺	日蓮宗	島原西新屋敷中之町
    申	西南西	島原の妙見さん	法喜山慈雲寺	日蓮宗	松屋町通五条下ル	酉	西	小倉山の妙見宮	小倉山常寂光寺	日蓮宗	嵯峨小倉山小倉町
    戌	西北西	鳴滝の妙見さん	金映山三宝寺	日蓮宗	鳴滝松本町	亥	北北西	鷹峯の岩戸妙見宮	清雲山圓成寺	日蓮宗	鷹峯北鷹峯町

    
    
  • 洛陽天満宮二十五社順拝
    • だんだんと「神」に近づいてくる。京都には天満宮も多く、巡礼する「順序」も決まっているようです（詳細省略）。
  • 都七福神
    • お正月用に、京都にも「七福神」が決められている。その時期に巡礼すると「七福神」の赤い幟が立っている。

    神様	通称	正式名称	宗派	所在地	神様	通称	正式名称	宗派	所在地
    えびす	えびす神社	京都ゑびす神社	神道	大和大路通四条下ル	大黒天	松ヶ崎大黒天	松崎山妙円寺大黒堂	日蓮宗	松ケ崎東町
    毘沙門天	毘沙門堂	東寺（八幡山教王護国寺）毘沙門堂	東寺真言宗	九条町	弁財天	弁天堂	補陀落山六波羅蜜寺弁財天堂	真言宗智山派	五条通大和大路上ル
    福禄寿	赤山さん	赤山禅院福禄寿殿	天台宗	修学院開根坊町	寿老人	革堂	霊鹿山革堂行願寺寿老人神堂	天台宗	寺町通竹屋町
    布袋尊	天王殿	黄檗山萬福寺天王殿	黄檗宗	宇治市五ヶ庄

    
    
  • 京都十六社朱印巡り
    • この「御朱印」集めは「神社」ばかりです。しかも年初に行う行事らしい。巡礼も「寺社」に始まり、遂に「神社」まで辿り着いた。
    
    

    熊野若王子神社	京都熊野神社	新熊野神社	粟田神社	東天王岡崎神社	六孫王神社	豊国神社	藤森神社
    市比賣神社	長岡天満宮	吉祥院天満宮	御香宮	西院春日神社	わら天神宮	今宮神社	御霊神社