(東京から引っ越してきた人の作った京都小事典)
京都の空間
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寺社借景庭園の雄−この2つに尽きる | |
「円通寺」(岩倉幡枝町) | 「鹿王院」 |
円通寺の借景は勿論、東の「比叡山」です。比叡山がこの庭園の“雄大さ”を演出している。 | 西の「嵐山」を借景にした名園です。訪れる人は少ないが、嵐山を見たければ“是非”ここへ。 |
「比叡山」を借りた空間 | |
天寧寺の「額縁門」 | 「川床」(鴨川) |
お寺の門を覗き込むだけで“山”が見える。比叡山を借景とした門、この光景はもはや“絵”です。 | 借景にしているのはお寺だけではない。鴨川の床にも「比叡山」は必須です。“床”も懐かしい。 |
“近くの山”を借りた空間 | |
「鷹峯」を借りた空間(玄琢光悦寺附近) | 「衣笠山」を借りた空間(等持院) |
借景に使われるのは比叡山だけではない。「鷹峯」も使われます。花札の“月見”も鷹峯です。 | “街中から見える山”「衣笠山」を借景としている寺もある。それが足利尊氏の「等持院」です。 |
「東山」を借りた空間 | |
「東山三十六峰」全部を借りた空間 | 東山の「阿弥陀ヶ峰」を借りた空間(清水寺) |
嵯峨の大河内山荘は「東山三十六峰全部」を借景にした庭を持っています。 | 本堂から「子安塔」越しに「阿弥陀ヶ峰」が見えます。この美しさは枕草子にも出てきます。 |
「鴨川」に架かる「飛び石」 | 「白川」 |
特に川を見に行こうと思わなくても、日常的に川と触れ合う生活をしています。川向こうに用事があれば、川を渡る、これが自然な行動です。 | 比叡山麓から東山に流れ込んでいる「白川」も市民には馴染み深い。写真は祇園を流れる白川、生活の場のすぐ近くを流れています。 |
「高瀬川」 | 「楢の小川」(上賀茂神社、楢のおがわ) |
本当は「運河」ですが、観光客憧れの川です。写真は観光名所「一之船入」。川は繁華街でも流れています。 | 百人一首に『風そよぐ 楢のおがわの ・・・』と詠われた「楢の小川」は今も上賀茂神社の中をゆったりと流れています。 |
「泉川」(松ヶ崎(写真は松ヶ崎中町辺り)) | 「明神川」(上賀茂社家町) |
この川は京都で一番心地よい“街中川”です。石橋を渡って家に帰ると、サラサラと川の音が聞こえます。こんな街に住みたいと思う人は多い。 | 街中を流れる川はまだある。「明神川」は上賀茂神社の社家の人には切っても切れない縁の深い川で、この地域も家へは川を渡って帰ります。 |
第1疏水「日ノ岡舟溜り」 | 疏水分線からの引水路(野村碧雲荘) |
第1疏水の京都に出たあたりは「日ノ岡舟溜り」と呼ばれている。かつては近所の子供の水遊び場であった。このように水に接する空間が多い。 | 東山では疏水の水を道路脇や庭園に引いてきて光景を潤している。岡崎・野村碧雲荘では杜若を水で潤している。散歩道にもごく普通に「水空間」があります。 |
かもがわの「三角州」 | 「地蔵盆」 |
賀茂大橋近くの三角州は、いつも子供の遊び場です。夏になれば完全にプール化します。 | 地蔵盆には近所の子供たちが全員集まってお地蔵さんの前でいろいろな遊びをします。時には殊勝に“お祈り”もします(写真)。 |
細い道も“運動場” | 時には細い道は“プール” |
車の通りの少ない細い道では、子供たちが走り回っています。道路は“運動場”と化したかのようです。親子・家族以外の人間関係も学びます。 | 夏には、プールを出してホースで水遊びをします。いつも子供たちの声で活気に溢れています。公園でなくてもどこでも遊び空間になります。 |
「寛遊園」(「木偏に遊」が正) | 「上七軒」 |
錦小路の西はずれにある“飲み屋街”。いかにも“場末”の飲み屋が建ち並んでいそう。どんな呑み助にも好まれそうな空間である。 | 下町にある“上品な”歓楽街へのアプローチ空間である。一歩足を踏み入れれば、非日常の世界に遭遇できそう。写真は御前通ではなく今出川通からの細道。 |
奥には何があるのか“細道” | お墓参りも“細道”を通って |
行灯が灯っているので奥には店があるのだろう、つい誘い込まれる。なんとなく“良さげ”な雰囲気がある。 | 「通りゃんせ」の天神様に出てくるような“細道”。祖先への挨拶はしたいが帰りは怖そう。こんな童謡的な「道空間(細道空間)」も多い。 |
「桂川(大堰川)」の葛野大堰 | 市比売神社「天之真名井」 |
嵐山を背景に大堰川が「葛野大堰」を越えて桂川になるところ、朝早く散策すると堰を越える水音が聞こえます。川があるところどこでも水音を聞くことができる。 | 水音は川だけではない。井戸、神社の手水鉢からも聞こえます。これらが水の「音空間」。 |
報恩寺の「鳴虎」 | 鴨川で餌を獲る「あおさぎ」 |
京都では朝晩鐘の音が聞こえます。東山では2つ以上のお寺の鐘が合唱しています。これも京都独特の「音空間」。 (右補足:秋には「虫の音」も多い) | 我が家では朝、鳥の鳴き声で目を覚まします。鶯、雲雀、四十雀、・・・。「あおさぎ」は、昼はどこかで餌を摘んでいて(観光客には受けが良い)、夜はお寺の山に帰って“ギャーギャー”鳴きます(住民には迷惑)。 |
祇園祭(写真は御池通) | 西陣の織物街(写真は小川通) |
祇園祭も佳境に入ると終日コンチキチンと鉦の音が鳴り響く。もっとも京都らしい「音空間」とも言える。 | 一年中聞こえる京都の「音空間」は西陣の機の音。西陣の一角を歩けば、実感する。 |
参道に床几を出して商売する「あぶり餅屋」 | 店前に商品を並べて商売する「京野菜屋」 |
言わずと知れた「今宮神社」の参道です。2軒が“張り合って”軒先を拡張している。つい寄りたくなる。 | 店舗を持っていない分、素人感があって野菜が新鮮そう。ちょっと買って帰りたくなる。 |
街道と一体となって空間を作り出す「醤油屋」 | 軒前の道と店倉庫が昔を彷彿させる「醤油屋」 |
「京の七口」の一つ「鷹峯街道」に面する松野醤油。この軒前空間は時代劇に出てきそう。。 | 澤井醤油本店(の倉庫群、写真))と山中油店は、新町通が作り出す軒前空間の双璧であろう。 |
「清凉寺」本堂(釈迦堂)の前は開けている | 「知恩院」は山門に至る参道も広い |
「嵯峨釈迦堂」の借景は「愛宕山」です。いつも広々していて、静かな気持ちになれる。嵯峨面はここの「嵯峨大念仏狂言」で使われる。 | 境内も広いが、山門の持つ空間は大きい。山門は近づけば近づくほど大きくなる。背景は「華頂山」(右)です。 |
「光悦寺」へ誘う参道は長い | いつも静かな「安楽寺」の石段 |
秋になると真っ赤に染まる参道ですが、混みます。静かに誘ってくれる参道に会いたければ、紅葉を外すのが良い。 | 「哲学の道」を1本東に入るだけで、静かな散歩道に会えます。時折しか拝観できませんが、この石段は私のお気に入りの寺前空間。 |
大徳寺「真珠庵」の「七五三の庭」 | 「俵屋旅館」の部屋付きの「庭」 |
方丈東側の小さな細長い庭。立派過ぎる坪庭。持てるべくもないが、これは「天下の名庭」。 | こんな庭が自分の机の前にあったら、落ち着いて論文が書けそう。 |
「旧河井寛次郎邸」の中庭 | 蕎麦屋「うるめ」の「坪庭」 |
厳密には坪庭ではないが、部屋へ移動するのにこんな庭があったら素敵。写真は登り窯への通路。 | 典型的な坪庭。町屋の真ん中に“切られている”。廊下を歩く時に見える。 |